狩下庭苑デザインオフィス - Karishita Garden Design Office -

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庭造りへの想い

 僕が生まれ育った広島市内近郊でも幼少期の頃は身近な所に野山があって田畑があった。近所の友達と春には蓮華や菜の花が咲き乱れる中を走り回り、梅雨の時期には蛙の大合唱に耳を傾け、夏には川へ入ってザリガニを取って遊び、秋には稲刈りや金木犀の香りがとても印象深く残っている。四季折々の自然の恵みを暮らしの中で当たり前に感じることが出来たのだ。

 大人になった今でも四季の移ろいを感じると、子供の頃の美しい風景が目に浮かぶ。そういった風景は今も多くの人の心の中の原風景となって残っているように思う。

 しかし近年では、僕が幼少期に住んでいた辺りも田畑が減り竹林は伐採され、分譲住宅が増えて水路には蓋がされるというように、周辺環境がすっかり変わってしまった。確かに物の豊かさや便利さは手に入れることが出来た様に思うが、はたして本当の意味で心身が豊かになったのだろうか?

 僕にも幼い子供がいるが、現在の子たちが大人になった時に少しでも心地が良いと感じる環境を残してあげたいと思う。人工的な物の価値ではなくその土地本来の自然の香りや音を身近な環境の中に取り戻し、心身が共に豊かな未来になるように、親として大人として庭人として出来ることをしていきたい。
 その為には、庭の環境に明るい雑木林のような風そよぎ葉音が心地よい四季が感じられる雑木の木々を取り入れ、春の新緑・夏の木陰・秋の紅葉・冬の雪景色と一年を通して目を楽しませてくれる、自然風の庭造りが必要だと考えている。

 そこで最も大切なのは、家と庭との調和。植栽の配置が大変重要になる。従来は家を建ててあまったスペースに木を植えるといった考えだったが、これからは木立の中へ家を建てるといったイメージが求める姿だ。

 最近は自然風の雑木の庭を求める人が増えてきている。しかし見落とされがちなのは「木よりも土にお金をかけろ」といわれるように見えないところも肝心。年月を経て庭が健全に育ち、家族が安らぎを感じながら楽しめるような空間。そういう庭造りを提供していきたい。

庭造りへの想い

 それは造形が先行した形ではなく、環境や構成 状況から導きだし、「他人の為にデザインをする」ことが、ものづくりの楽しさだと考えている。完成後クライアントの笑顔を見たとき全てが報われる。

 デザイナー兼庭園マイスターとして一過性のものではなく、100年以上経っても古く見えない未来へ残るものをつくるのが目標だ。

狩下 剛典(かりした よしのり)

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